自毛植毛におけるドナー(グラフト)の採取方法はクリニックによって様々です。ここでは自毛植毛における一般的なドナー(グラフト)の採取方法ついて解説します。
自毛植毛のグラフトの採取方法
AGAの進行が進み、育毛剤や育毛サプリでは手遅れと思われる方や、これらのAGA対策では効果があがらなかった方が選択肢と考えるのが植毛です。
植毛には、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維でできた人工毛を頭皮に植え込んでいく人工毛植毛と、自分の髪の毛を移植する自毛植毛がありますが、トラブルの少ない自毛植毛が一般的となっています。
参考:自毛植毛と人工毛植毛
自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪の毛を毛包単位に採取し、生え際や頭頂部など移植したい箇所へ移植する手術です。
採取する毛包単位の髪を株やグラフト、ドナーと呼んでいます。
移植は、
・髪の毛を採取する
・採取した髪の毛を植え付ける
という2つの工程で行われますが、髪の毛を採取する一般的な方法として、FUT法というものとFUE法というものがあります。
FUE法とFUT法
FUE法
FUE法は、メスを使わないで髪の毛を採取する方法です。一般的にメスを使わない植毛と言われています。
パンチと呼ばれるくり抜き器具を使用し、人の手でミリ単位以下の微小の穴をあけて1つ1つのドナー(毛包)を採取していきますので、丸くて白い傷跡が残ってしまうとはいえ、傷跡はあまり目立たなくなります。
メスを使わないので傷跡が目立たない、極小の穴を開けるのでかさぶたになりにくいといったメリットがありますが、毛根を傷つけやすいため、毛根の切断率が高いというデメリットがあります。
毛根を切断してしまうとドナーとしての意味をなさないため、貴重なドナーを無駄にしてしまう確率が可能性が高くなります。
そのため、大量の植毛を行う場合は不向きと考えられています。
最近では、ロボットを使ってFUE法による植毛を行うクリニックもあります。
FUT法
FUT法は、メスを使う植毛です。FUSSとも呼ばれます。
日本ではFUEより新しい技術で、ドナーを採取するためにバリカンなどで後頭部の髪を刈り取った後、皮膚ごとメスで切り取り、株分け工程にまわされます。同時に切り取られた箇所は、糸で縫い付けが行われます。
頭皮の張りが強い場合はこの手術ができない場合もあります。
株分け工程では顕微鏡などで1つづつ慎重に株分けされるため、FUE法と比べると毛根の切断率が低く、ドナーが無駄なく使え、髪の毛が定着しやすいといったメリットがあります。
一方で、一直線上に傷口が残ってしまい、傷の完治にも時間がかかるといったデメリットがありますが、同じグラフト数を植毛した場合、FUTのほうがFUEよりも傷跡の総面積が半分以下ほどで済みます。
一般的には費用もFUE法より安くつきます。
大量の植毛を行う場合は向いていると考えられています。
近年は、FUT法による傷跡を目立たなくするためのトリコフィティック縫合法(傷痕に毛が生えてくれば、傷痕があっても目立たなくなるという理論から開発された縫合法)という技術を採用するクリニックもあります。
FUE | FUT | |
定着率 | 定着率(正着率が)やや低い | 定着率(正着率が)高い |
傷跡 | 目立たない | 目立つ トリコフィティック縫合法 でカバー可 |
費用 | 割高 | 割安 |
その他 | 大量移植に不向き 縫合しないためすぐに 日常生活に戻れる |
大量移植に向いている しばらくは日常生活に 気を遣う必要がある |
これらは、後頭部や側頭部からドナーを採取する基本的な2つの技術です。
実際は、クリニック独自で様々な技術を保有しており、FUE法でも高い定着率や大量移植を実現しているクリニックもあれば、FUT法でも傷跡を目立たないようにできるクリニックも存在します。
実際にクリニックを選ぶ際は、これらの基本的なドナーの採取方法とは別にクリニックの持つ技術やクリニック毎に異なる費用を比べて決めます。