ARTASを使った自毛植毛

クリニックの中には、自毛植毛におけるドナーの採取にAIを搭載したARTASというロボットを活用しているところがあります。

ARTAS

ここでは、ARTASによるドナー採取のメリット・デメリット、またARTASを採用しているクリニックなどを解説しています。

ARTASを使った植毛

自毛植毛は、後頭部や側頭部からドナーを採取して、前頭部の生え際部分や頭頂部に移植するという工程を踏みます。そして、ドナーを採取する術式にはメスを使ったFUT法とメスを使わないFUE法とがあります。

このうち、メスを使わないFUE法は、通常は、パンチと呼ばれるくり抜き器具を使用し、人の手でミリ単位以下の微小の穴をあけて1つ1つのドナー(毛包)を採取していきますが、この作業をAIを搭載したロボットで行う方法もあります。

これがARTAS植毛です。

ARTAS植毛

ARTAS(アルタス)は、日本国内の自動車メーカーと米国のベンチャー企業が共同で開発した後頭部から移植毛を採取するための機械(ロボット)です。

米国のFDAでも正式に認可されており、米国をはじめアジアやヨーロッパでも活用されています。

FUE法は、人の手で毛穴ごとくり抜いてドナーを採取していきますが、毛根の生える向きには個人差があり、人の手で正確に採取するには限度があります。

肉眼では皮膚の下の毛根がどこにあるか見えない為、採取時に毛根を切断してしまう可能性が高くなりがちです。毛根を切断してしまうと移植先の発毛は見込めなくなります。毛根をできる限り切断せずに採取するには長年の経験と高い技術力が必要になります。

これに対して植毛ロボットARTASは4つのCCDカメラが1秒毎に50~60回撮影し、髪の密度や本数などを正確にかつ瞬時に算出。

肉眼では確認できない皮膚下にある毛根の角度を計算し、毛根が切断されないよう的確にドナー採取を行います。

自然な仕上がりになるよう最適な採取間隔を保つようプログラムされています。

ARTASを採用した植毛治療では、
テンショナーシステム
2ニードルシステム
の2つの方法を採用していいます。

テンショナーと2ニードル

テンショナーシステム

テンショナーシステムは、ドナー採取率が良くするためにテンショナーと硬度計を使用して頭皮の硬さや薄毛の具合、採取率や定着率を調べるシステムです。これにより良質なドナーの採取と目立たない傷跡を実現しています。

2ニードルシステム

2ニードルシステムは、外側パンチ(アウターニードル)と内蔵された鋭い内針(インナーニードル)で構成されたニードルを採用しており、インナーニードルで皮膚のみをパンチし、その後アウターニードルがコアリングすることでスムーズに吸引することができるようにしています。

テンショナーシステムと2ニードルシステムの2段階の操作で、毛根を傷つけずにドナーを採取する事が可能になります。

採取されたドナーは、熟練した医師達によって移植部分へ植え込まれます。

ARTAS植毛のメリット

安定して良質なドナーの採取が可能?

クリニックなどによるARTASの紹介文には、デジタル画像をコンピュータ処理し、高度なロボットアームによってミクロンレベルの正確で一貫性のあるバランスの良いグラフト採取を実現すると紹介されています。

医師の経験や技術力によることなく安定して良質なドナーを採取することが可能と紹介されていますが、実際のところどうなのかは、実際にARTASで植毛を受けた人達の口コミが参考になるでしょう。

植毛は失敗が許されませんので、ネットなどで多くの口コミを検索して参考にされることをおすすめします。

採取部の自然な仕上がり

クリニックなどによるARTASの紹介文には、デジタル処理で最適な間隔を算出するためドナー採取部がムラにならないと紹介されています。

メスを使用しないので傷後も目立たず、小さなかさぶたが出来るほどの傷跡で済むとされています。

採取時間が短い

ドナーの採取は、ロボットアームによるため、採取時間も短く、患者の精神的・肉体的負担も少なくて済みます。

比較的安価な料金

ARTASを採用したクリニックの植毛料金は、他のところと比較すると安価です。

ARTAS植毛のデメリット

機械で採取される関係上、移植するドナーが取れる範囲がある程度固定されてしまいます。テンショナーというものを使ったやや狭い範囲(テンショナーの内径はおよそ3cm×3cm)での採取ということになりますので集中して採取すると、傷跡が目立つ場合もあります。

特に採取するドナーが多い場合は、限られたエリアからの大量採取ということになりかねないのでその傾向が強くなります。

尚、ドナーの採取に使用されるニードルは1mm程度とやや大きいとの指摘もありますが、これは、テンショナーにより皮膚を広げた後に使うものです。皮膚と通常に戻すと傷口は小さくなりますのでさほど心配する必要はないと思います。

また、デメリットという訳ではありませんが、ARTASを使用しなくても高い技術を持った医師であれば、ARTASと比較しても安定して良質なドナーを採取することが可能です。

ARTASの毛根の切断率は8%とされているようですが、優秀な医師であれば5%以下に抑えることも可能と言われています。採取する時間についても同じことが言え、優秀な医師であればARTASより早く採取する医師も少なくありません。

比較的料金が安い上、安定して良質なドナーを採取することができると宣伝されているARTASによる植毛ですが、現時点で機械任せにした方が最善かというと当サイトの見解ではやや疑問です。

価格との絡みで選択肢の一つとして考えていいと思いますが、それで最も高い満足度が得られるかというと、そうとは限らないというのが当サイトの見解です。

ARTAS植毛を採用しているクリニック

国内でARTASを導入して植毛を行っているクリニックには、
・湘南美容外科クリニック
・ルーチェクリニック
・TOMクリニック
・聖心美容外科
などがあります。

自毛植毛のグラフトの採取の仕方