ここでは、白髪が生えてくるメカニズムと白髪が生えてくる主な原因7つについて解説します。
白髪が生えるメカニズム
メラノサイトが着色
毛髪の色を決定しているものをメラニン色素といい、メラニン色素を作っている細胞を色素形成細胞(メラノサイト)といいます。
色素形成細胞(メラノサイト)は、毛根部分より少し上にあるバルジ領域に存在するメラノサイト幹細胞(色素幹細胞)によって生み出されます。
その後、メラノサイトは、毛乳頭付近に移動し、毛母細胞が髪の毛を製造する時に、メラニン色素を毛母細胞に送りこむことで髪の毛(主にコルテックス部分)を黒色に着色していきます。
誰でも毛根で髪の毛が作られた瞬間は無色の状態ですが、色素形成細胞(メラノサイト)で作られたメラニン色素が髪の製造時(毛母細胞分裂時)に髪の毛に送られることで髪に色がついていくという訳です。
つまり、白髪とは、何等かの理由でこの色素形成細胞(メラノサイト)の能力が衰えてメラニン色素を十分につくれなかったり、メラニン色素の原料が不足したりすることで、毛髪の色素が薄くなり、光を反射して白く見えるようになった状態のことをいいます。
色素形成細胞(メラノサイト)は、加齢や病気、ストレスなどにより毛根の代謝が低下してくることで能力が落ちたり減少したりしていきます。
通常は加齢とともにメラノサイトが弱り、髪の成長段階や髪の生え変わりのタイミングで徐々に白くなっていきますが、強いストレスや病気などにより急にメラノサイトが活動を停止し、突然白髪になる(※)といったこともあります。
※一晩で髪全体が白髪になるということではなく、強いストレスや病気により、メラニン色素を作る細胞の働きが止まってしまい、その時点から新たに生えてくる毛が白髪になるということです。
メラニン色素の原料
黒髪のもととなるメラニン色素をメラノサイトが作るにはその原料として
・チロシナーゼと
・チロシン
という物質が必要となります。
メラニン色素は、血液を通して運ばれてきたチロシンをメラノサイトにあるチロシナーゼが変換して作り出します。
従って、メラノサイトの機能が低下するだけでなく、チロシナーゼやチロシンが不足したりすると髪の毛への着色能力は低下してしまいます。
白髪になる7つの原因
白髪の原因となるメラニン色素の不足、色素形成細胞(メラノサイト)の活動低下の原因には様々なものがあります。
加齢
髪の色であるメラニン色素を作り出している色素形成細胞(メラノサイト)の活動は加齢によって低下していきます。一般的な白髪の原因のほとんどが加齢によるメラノサイトの活動低下によるものだとされています。
遺伝
白髪は統計学上でも遺伝性が高いと言われています。
解明されていない部分が多いのですが、遺伝によって起こる白髪は、メラノサイトが生成したメラニン色素が髪に送り込まれにくいという体質を遺伝により引き継ぐことが原因であると考えられています。
若白髪や子どもの白髪のほとんどは遺伝性のものだと言われています。
病気
病気になると、色素形成細胞(メラノサイト)がメラニン色素を作り出す能力が低下して白髪の原因となる場合があります。また、病気を治療するための薬の副作用が原因となって白髪が起こるケースもあります。
食生活(食習慣)
食事の栄養バランスの乱れ、ビタミン・ミネラル・タンパク質の不足により、内臓の働きが衰えてしまい、血流量が減ることで、白髪になることがあります。
白髪を改善するためには髪が健やかに育つような栄養素を食事から摂取することが必要になります。
生活習慣・ストレス・喫煙・睡眠・妊娠・出産
ストレス、睡眠不足、運動不足、喫煙、など、血行を悪くしたり代謝を下げるような生活習慣を送っていると白髪の原因となります。妊娠や出産でホルモンバランスを崩したり精神的ストレスを受けることで白髪となることもあります。
また、化学物質成分を含むヘアケア製品の使用は、頭皮の新陳代謝を抑制するだけでなく溶解作用をもつ有害物質が毛母細胞に悪影響を及ぼす場合があります。
喫煙
タバコに含まれているニコチンは、血管を収縮させる働きがあります。毛細血管が収縮することにより髪の毛に栄養が行き届かなくなり。必然的にメラノサイトの働きも弱まってしまいます。
紫外線
最近になって、紫外線が頭皮の色素幹細胞DNAを損傷させることがわかり、これが白髪の原因のひとつだということがわかってきました。紫外線の強い日は帽子や日傘などで紫外線対策をすることも白髪対策の一つになります。
⇒ 白髪の予防と対策