白髪は黒髪と比較して太く、また、伸びるのも黒髪より速いように感じます。
男性のヒゲもそうですが、鼻毛もそういう気がします。
白髪が生えてきたばかりの頃は、黒髪の中にあって1本でも自己主張が強く太くたくましく感じることがあります。白い色は膨張色だからそう見えるだけなのでしょうか。また目立つがゆえに伸びるのも速く感じるのでしょうか。
実は、白髪は太い、伸びるのが速いと言われるのは目の錯覚でも単なる勘違いでもなくちゃんとした調査結果があるのです。
白髪が黒髪よりも伸びるスピードが速い、また、白髪が黒髪より太い、という研究結果は、2004年に行われた資生堂と北里大学の医学部皮膚科の勝岡教授との共同研究で発表されました。
この調査では、日本人37名を被験者とし、32,000本の毛髪サンプルを採取して解析しています。
その解析の結果、
1.白髪の伸びる速度は黒髪よりも速い
2.白髪の直径は黒髪よりも太い
という結果のほか、
3.白髪の発生率には頭部の部位によって差があり、特に後頭部では少ない
4.成長期にある白髪の比率は、黒髪よりも高い
5.白髪の断面の形状は、黒髪よりも扁平な傾向にある
という興味深い調査結果が出ています。
そして、1と2と4については、平均値を比較したものとされています。
どうして白髪が成長期にある比率が高いのか、どうして扁平な傾向にあるのか、またどうして後頭部に少ないのかは今後の研究で明らかになってくると思われますが、白髪の太さと伸びる早さについては、現時点では、以下のように考えるのが妥当と思われます。
白髪が太いとされる理由
研究結果にも記載されている通り、白髪の断面の形状は、黒髪よりも扁平な傾向にあり、白髪は黒髪より成長期にある比率が高い、とされています。
扁平な傾向とは、髪の毛の断面が平べったい形になる事です。一つには髪の断面が平べったくなると、太く感じてしまうということがあるのかもしれません。
あわせて、白色は膨張色ですので太いように錯覚しているのかもしれません。
しかし、この調査結果で最も重要視する点は、「白髪は黒髪より成長期にある比率が高い」という点だと思います。このことがこの調査結果を導くヒントになっているように思います。
成長期というのはヘアサイクルの中で髪の毛が太く強く伸びる期間です。この期間の髪の毛の割合が多いということは、太くて元気な髪が多いことを意味し、結果、白髪は黒髪よりも太いという調査結果になってしまいます。
つまり、白髪は太い髪が多いけれど、黒髪は退行期や休止期を経て伸び始めた成長期初期段階の細い髪の毛の割合も多いということで、平均値を比較すれば理論上白髪が黒髪より太くなってしまうという考えです。
研究結果として報告されていますが、白髪が太いとされる理由は、「白髪に細い毛が少ないため」であると考えられます。
黒髪と白髪、同じように成長期にある健康な髪の毛であれば必ずしも白髪は黒髪より太いとは言えないと思われます。
白髪は速く伸びるとされる理由
髪の毛が伸びる速度についても同じことが言えます。
つまり、 黒髪には細くて成長速度の遅い毛の割合が多いため平均すると白髪の方が髪の毛が速く伸びる比率が高いことになります。
髪の毛は、毛母細胞が分裂して成長しますが、このとき、近くにあるメラノサイトが毛母細胞にメラニンを送り込むことで髪が黒くなります。
メラノサイトが正常に機能していれば黒い髪が生えてきますが、老化や栄養不足で正常に機能していない場合は、白髪となってしまいます。
一説には、白髪はメラノサイトがメラニン色素を付着させる工程・時間が短縮されるため伸びるのが速いという見解もありますが、これは現時点では不明です。
黒髪と白髪、同じように成長期にある健康な髪の毛であれば必ずしも白髪は黒髪より早く伸びるとは言えないと思われます。
まとめ
白髪は太くて伸びるのが早いか?
2004年に行われた資生堂と北里大学の医学部皮膚科の勝岡教授との共同研究でわかったことではっきりしていることは、
・白髪は成長期にある髪の比率が黒髪よりも高いこと
です。この結果、白髪は太くて速く伸びる髪の毛の割合が多いという結果が導き出されているということで、実際は、同じ成長期にある健康な黒髪と比較すると白髪が太くて速く伸びるとは言えないということです。
ただ、どうして白髪は成長期にある髪の毛が多いのか、どうして扁平な傾向にあるのか、後頭部ではどうして白髪が少ないのか、は、薄毛に関係あるのかないのかも含めて興味深く今後の研究が待たれるところです。
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