プロペシアは女性の薄毛にも効果があるのか

プロペシアは女性の薄毛にも効果があるのか

プロペシアは、米国の製薬会社であるメルク社が開発した男性用の薄毛治療薬です。日本のAGAクリニックでもAGA治療薬として処方されています。

フィナステリドを有効成分としているためそのままフィナステリドという名前で処方されたりしています。

参考:フィナステリドとは?その効果や副作用

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼ(主にⅡ型)という酵素と結びついてDHTというより強力な男性ホルモンに変換されることで発症します。

プロペシアはこのテストステロンと5αリダクターゼとが結合するのを邪魔しDHTが生成されることを阻害することでAGAの進行を抑制します。

このようにプロペシアには、AGAによる抜け毛を減らす効果がありますが、発毛を促す効果はあまり期待できないため、殆どの場合、発毛を促す効果があるミノキシジルと一緒に処方されます。

つまり発毛を促す攻めの成分と抜け毛を減らす守りの成分で薄毛の進行を食い止める、または改善するという訳です。

プロペシアの働き

プロペシアは女性の薄毛にも効果があるか

女性の脱毛症にもAGAと似た症状があり、男性のAGAと区別してFAGA(女性の男性型脱毛症)と言われる脱毛症がありますが、FAGAは男性のAGAとは似ていても異なる疾患だと考えられています。

プロペシアは女性には効果なし

実際に137名の女性被験者を対象とした観察期間1年の試験において、フィナステリド治療薬を女性が服用した場合には有用性が認められなかったという試験結果も存在しています。

プロペシアの服用は女性は危険

プロペシアは女性の薄毛の改善に効果がないばかりではなく、服用すると危険を伴うとされています。

日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでも妊婦に投与するとDHTの低下により男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあり、妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性への投与は禁忌とされています。

プロペシアの成分であるフィナステリドは、もともとは、抗アンドロゲン剤(男性ホルモンの働きを抑制する治療薬)なので、服用するとDHTの生成が阻害され男性生殖器が正常に発育しない危険があるためです。

成分は皮膚からも吸収されるため女性は触れることも禁止されています。このため妊婦のいるご家庭や将来子供を授かる可能性のある女性のいるご家庭では、その取扱いに十分注意しなければなりません。

実際、プロペシアの添付資料にも「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人」には投与しないよう記載されています。

日本皮膚科学会の判定は「行うべきではない」

このようなことから、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン2017年版でも、男性型脱毛症には推奨度A(行うよう強く勧める)にランク付けされていますが、女性は推奨度D(行うべきでない)にランク付けされています。

日本皮膚科学会の判定表

これに対してミノキシジルは女性に対しても効果が認められており、男性と同じく推奨度はA判定とされています。女性には唯一のA判定です。

尚、これはあくまで外用としてのミノキシジルで内服に関しては男性・女性ともにD判定されていることに注意を要します。

まとめ

このようなことからもわかるとおり、プロペシアは女性の薄毛に対しては効果がないばかりか、危険を伴うと考えられています。

実際のクリニックの薄毛治療でもプロペシアは男性患者にのみ処方されていますが、個人輸入などを利用することで誰でも手にすることができます。しかし女性の服用は危険であるため安易に手を出さないようにしなければなりません。

参考:女性向けの育毛剤