市販されている殆どの育毛剤にはエタノール、無水エタノールといったアルコールが配合されています。
ここでは、どうして育毛剤にアルコールが配合されているのか、アルコ-ルにはどういう働きがあるのか、育毛に支障はないのか、について解説します。
育毛剤にアルコールが配合されている理由
育毛剤の成分表を確認すると分かりますが、殆んどの育毛剤には、エタノール、無水エタノールといったアルコールが配合されています。
エタノールはアルコールの一種で、エチルアルコールとも呼ばれます。
エタノールを99.5%以上含む濃度の高いものを無水エタノールと言っています。
育毛剤にこれらのアルコールが配合されている理由は、アルコールには、
- 防腐剤の代用としての殺菌・消毒
- 脂質を溶解
- 清涼感を出す
- 頭皮の毛細血管を拡張
- 血行を促進
- 育毛剤成分を浸透させる
といった作用があるためだとされています。
育毛剤は、一般的に開封後1~2ヶ月間使用され、その間放置されますが、アルコールを配合することで、その間の劣化を抑えることができます。
また、その揮発性を利用してスースーと清涼感やサッパリ感を出すことができ、頭皮上の細菌などを殺菌したり脂質を溶解する作用もあります。
さらに、アルコールには、水に溶けにくい成分を溶かす可溶化作用があるため、植物エキスなどを安定して配合させる働きや、皮膚への吸収性が高いため育毛剤の成分自体の浸透力を高める作用もあるとされています。
アルコールによる悪影響
このようにアルコールには様々なメリットがありますが、アルコールを頭皮に塗布した場合は、むしろデメリットによる悪影響が大きいのではないかという見解も出てきました。
このため、近年はノンアルコール、アルコールフリー、ロ-アルコールといった育毛剤に人気が出てきています。
そのデメリットには以下のようなものがあります。
頭皮の乾燥
皮脂などの脂質は頭皮を乾燥や紫外線など外部の刺激から守る大事な物質ですが、アルコールの揮発性の作用で頭皮に必要な水分まで蒸発させてしまい、頭皮が乾燥し潤いが奪われてしまうリスクがあります。
そのため乾燥肌の方は注意を要しますが、加齢とともに皮脂も減って乾燥しやすくなるので、特に高齢の方はアルコールの刺激は避けたいものです。
また、アルコールは肌への刺激も強いため、アレルギー体質の方や敏感肌の方はかぶれや湿疹などに注意する必要があります。
タンパク質変性作用
アルコールにはタンパク質変性作用があります。タンパク質変性作用とは、タンパク質の性質を変えてしまうというもの。台所洗剤による手荒れもこの性質によるものです。
タンパク質は髪の毛を生成する素ですから、これが破壊されるということは毛母細胞にも打撃を与え、育毛には大きな悪影響を与える可能性があります。
育毛剤のアルコールは頭皮に悪影響を及ぼすか
このようにアルコールは育毛(頭皮の環境)に関してプラスに作用する面とマイナスに作用する面とがあります。
しかし、最近では、アルコールは毛乳頭細胞の働きを弱めるとして育毛への悪影響を記載しているサイトもあり、ノンアルコール・ローアルコール・アルコールフリーといった処方の育毛剤が増えてきており、また人気もあります。
ただ、アルコールには育毛に悪影響を与える作用ばかりではありません。
毛乳頭細胞の働きを弱めると言っても確かなエビデンスがある訳ではありませんし、頭皮の乾燥を招くといっても同時に植物エキスなど保湿成分が配合されている場合が殆んどです。
従って、育毛剤のパフォーマンスを引き出す程度にごく少量配合されている育毛剤であればそれほど気にする必要はないと考えます。
注意しなければならないのはアルコールアレルギーの人です。アルコールアレルギーの人はアルコールが高配合されている育毛剤には注意する必要があります。
特に、ドラッグストアや薬局で販売されている市販の育毛剤の中には「火気厳禁」と記載されているほどアルコールが高配合されているものもありますので注意して下さい。
このようなことから考えるとアルコールは配合されていないものに越したことはありませんが、濃度の低いものであれば、それほど気にする必要はないというのが当サイトの見解です。
尚、頭皮への悪影響とは別になりますが、アルコールには成分を溶かす作用があるため、パーマやカラーの効果が落ちる原因になります。パーマやカラーを長持ちさせたい場合は、アルコール入りの育毛剤は極力避けるのが無難です。
育毛剤に含まれるアルコール
育毛剤などに含まれるアルコールには、エタノールや無水エタノールのほか、
- フェノキシエタノール
- パントテニルエチルエーテル
- ジプロピレングリコール
といったものがあります。
医薬部外品扱いでない育毛剤の成分表は成分が多い順に記載されていますので、成分表の前の方に上記のような名称があればアルコール濃度が高いということになります。また火気厳禁と表示がされている場合も注意が必要です。