テレビのCMでもお馴染みの発毛剤リアップの有効成分ミノキシジル。男性の薄毛治療薬というイメージがありますが、女性には効果があるのでしょうか。
ここでは、ミノキシジルは女性に効果があるのか、について解説しています。
ミノキシジルは女性に効果があるのか
ミノキシジルは、もとは高血圧の経口薬として開発された成分ですが、後に発毛効果が確認され、1980年代に脱毛症の治療薬として承認を受けた成分です。
ミノキシジルの作用
血流を促進し、発毛に働きかける成長因子の産出を促進する作用などがあることから、男性に限らず、女性にも有効と考えられており、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン2017年版でも、男性・女性の区別なく推奨度A(行うよう強く勧める)にランク付けされています。
そもそもミノキシジルは、壮年性脱毛症(AGAの一種)に効果を発揮します。円形脱毛症その他の脱毛症には効果が期待できないとされています。
壮年性脱毛症とはAGAの一種で男性ホルモンが原因でヘアサイクルが乱れ、十分な成長期を経ないまま退行期、休止期へシフトし、脱毛してしまう脱毛症です。
女性もわずかに男性ホルモンが存在しますが、加齢や更年期、ストレスなどでホルモンバランスを崩し、男性ホルモンが優位に立つことで壮年性脱毛症を引き起こす場合があると考えられています。
女性の場合は、男性のように生え際が後退したり、髪の毛が無くなってしまうほどには進行せず、頭部全体の毛髪が細くなったり、ハリやコシがなくなったり、頭頂部を中心に地肌が目立つようになります。このような症状がみられると壮年性脱毛症が疑われます。
加齢や閉経後などで女性ホルモンが減少していきますので40代から50代にかけて薄毛になるのが特徴です。
ミノキシジルはヘアサイクルの変化により小さくなった毛包に働きかけ、大きく深く成長させることにより、成長期を延長させ、細く軟毛化した毛髪を太い毛に成長させる働きがあります。
従って、女性でも壮年性脱毛症の場合は、ミノキシジルは効果的に作用すると考えられており、実際、ドラッグストアや薬局には女性専用のミノキシジル商品(例:リアップジェンヌ)が販売されています。
尚、ミノキシジルの副作用については、男性とかわりません。詳細は下記のサイトを参照して下さい。
女性用のミノキシジルは5%が無い理由
男性では、5%濃度のミノキシジルが主流ですが、女性用は1%濃度が主流です。
アメリカにおいては2014年に女性用の5%ミノキシジルが承認されましたが、日本では、まだ承認されていません。
その理由は、臨床試験がまだ行なわれていないことと、ムダ毛が濃くなるため、だと考えられています。
臨床試験
大正製薬では、リアップジェンヌの先発品であるリアップレディで、臨床試験を実施しています。
それによれば、リアップレディ(ミノキシジル1%)は6ヵ月使用後において毛髪数の増加と太い毛髪の増加が認められたと公表しています。
ミノキシジルタブレットの効果
外用薬としてより内服薬としての効果が高いことが判明しているミノキシジルですが、実は国内では内服薬としてのミノキシジルは、承認されていませんし、海外でも薄毛治療薬として承認されているわけではありません。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版においても、わざわざ外用薬のミノキシジルとしてD判定(行うべきではない)に判定されています。これは十分なエビデンスが無いことと危険性が十分に検証されていないためです。
特に女性の場合は、男性と比較して血圧が低めで思わぬ事故につながりかねませんし、多毛症やむくみという副作用があるため、薄毛治療専門のクリニックでも処方してくれるところは少ないのが現状です。
まとめ
ミノキシジルは壮年性脱毛症の女性に効果が認められています。
濃度が高い方が効果が期待できますが、血圧の低下や多毛症などの副作用があるため、濃度は1%と男性用の5%と比較して低濃度のものが販売されています。
ただ、アメリカでも女性用の5%ミノキシジルが承認されたことから近い将来、より高い濃度のミノキシジルが販売される可能性もあります。
但し、これは外用薬で、内服薬であるミノキシジルタブレットは、男性・女性に限らず認可されていないことに注意を要します。どうしてもという場合は、医師に相談して処方してもらうか、自己責任で個人輸入することになります。
参考:女性の育毛剤 ランキング