ここでは、後頭部や側頭部が禿げない理由について解説しています。
同じ髪の毛なのに、禿げていくのは決まって前頭部分や頭頂部分です。不思議と後頭部や側頭部は禿げません。
男性の薄毛・禿げのパターンも上図にあるように後頭部が禿げている図はあまり見かけられません。
これにはちゃんとした理由があります。
後頭部・側頭部が禿げない理由
後頭部・側頭部が禿げない理由は、禿げになる理由がわかると理解できます。
男性の薄毛(禿げ)の原因として最も多いのがAGA(男性型脱毛症)というものです。男性の薄毛(禿げ)の95%ほどを占めると言われています。
AGAは、体内を巡る血液の中のテストステロンという男性ホルモンが、毛乳頭に存在する5αリダクターゼ(Ⅱ型)という酵素と結びつくことでDHTというより強力な男性ホルモンを産出し、これが同じく毛乳頭に存在するアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合することで脱毛が進行していく症状です。
つまり、AGAによる薄毛(禿げ)になるには、
・テストステロンと
・5αリダクターゼ(Ⅱ型)
・男性ホルモン受容体
という3つの要素が絡んでいることになります。これらのどれかが欠けるとAGAは発症しないと考えられています。
そして、後頭部や側頭部が薄毛(禿げ)にならない理由は、
・後頭部や側頭部には、男性ホルモン受容体が存在しない
・後頭部や側頭部には、5αリダクターゼ(Ⅱ型)が殆ど存在しない
ためだと言われています。
つまり、後頭部や側頭部は、これらAGAになる要素が欠けているため、AGAによる薄毛にはならないのです。
これらの2つの要素は、後天的というより遺伝性が高いと言われています。
感度の高い男性ホルモン受容体や5αリダクターゼの活性が強い体質を遺伝するとAGAを発症するリスクが高くなります。
逆に後頭部や側頭部の薄毛が進行している場合は、AGAが原因である可能性は低いため、その他の原因を疑ったほうがいいかもしれません。
自毛植毛には後頭部・側頭部の髪が使用される
AGA治療の一つとして自毛植毛がありますが、薄毛の部分に移植される髪の毛には、AGAの影響を受けない後頭部や側頭部の髪が使用されます。
毛包ごと移植されますので、例えば前頭部生え際部分に移植したとしてもAGAによる薄毛になることはほぼありません。一生涯、後頭部の髪の毛のように抜けては生えを繰り返します。
AGA以外の薄毛の場合
薄毛の原因としての割合は低いものの男性の薄毛の原因はAGAだけではありません。自己免疫性疾患で発症されると考えられている円形脱毛症や、皮脂やフケによって炎症を起こして発症すると言われている脂漏性脱毛症・ひこう性脱毛症、また食事や睡眠といった生活習慣の乱れや、極度のストレスなどが頭皮環境の悪化を招いて発症する脱毛症などもあります。
これらの場合は、後頭部や側頭部も薄毛になる場合があります。
後頭部・側頭部以外が禿げてきた場合は早めの対策を
後頭部・側頭部以外、つまり、前頭部の生え際部分や頭頂部が禿げてきた場合は、AGAを疑ってみる必要があります。
AGAは進行型ですので早めに対策を打つ必要があります。長年放っておくと手遅れになってしまう場合もあります。
AGAの代表的な治療薬としミノキシジル(日本ではリアップが有名)とフィナステリド(商品名プロペシア)があります。
ミノキシジルは、血管を拡張させたり、発毛シグナルを発信するインスリン様成長因子1(IGF-1)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などの産出を促す作用があります。毛包に働きかけ、大きく深く成長させることにより、細く軟毛化した毛髪を太い毛に成長させます。
フィナステリドは、AGAの原因である5αリダクターゼ(Ⅱ型)の働きを抑制する働きがあるお薬です。5αリダクターゼ(Ⅱ型)の働きを抑えることでDHTの産出量を減らし、脱毛因子の発生を抑えます。
発毛を促進し、脱毛を抑えるという両輪で、より効果が認められるとしてAGAの専門クリニックなどではペアで処方される場合が殆んどです。
ミノキシジルやフィナステリドには一定の効果が認められるもののその分副作用も懸念されています。現在は国内でも5αリダクターゼ(Ⅱ型)の働きを抑える天然成分が多数発見され、多くの育毛剤や育毛サプリメントに配合されています。
参考:おすすめの男性用育毛剤