ここでは、髪の毛を側面から見た構造と髪の毛を輪切りにして断面から見た構造について解説します。
髪の毛の構造
髪の毛の側面から見た構造
髪の毛は、皮膚の外に出ている毛幹と、皮膚の中に入っている毛根とに区別されます。さらに、毛根の下の部分のおたまじゃくしの頭のような丸い部分を毛球といい毛球には毛乳頭と毛母細胞があります。
毛乳頭と毛母細胞
毛乳頭は、毛細血管を流れる血液から酸素や様々な栄養素を受け取り、さまざまな物質を分泌して毛母細胞の増殖をコントロールし、髪の成長を促したり、また、成長をストップする指示を出しています。
毛母細胞は、毛乳頭から与えられた指令や頭皮の毛細血管から運ばれてきた酸素や栄養素をエネルギーにして、髪の毛を創り出し成長を促します。
参考:毛乳頭と毛母細胞の働き
皮脂腺
皮脂腺は皮脂を分泌する器官です。皮脂が分泌されて毛穴から頭皮に出ると汗と混じって皮脂膜となり、水分の蒸散を防いだり、外敵や細菌、ウィルスなどから頭皮を守る役割をします。
頭皮は皮脂の分泌量が最も多い箇所です。分泌量は思春期をピークに加齢とともに減少していきますが、気温が高くなると分泌量は増加します。
適度な皮脂は頭皮のバリア機能を果たし、潤いを守るのに大切なものですが、多すぎると、肌が汚れやすくなったり、刺激になったりもします。
生える髪の毛の特徴
図では髪の毛が1本ですが、通常は1つの毛穴から2~3本の髪が生えています。また、髪の毛が生えていない毛穴もあります。
髪の毛と呼ばれている毛幹は皮膚などと違い、一度傷つくとその傷は治りません。髪の毛を脱色をした後、髪の色が元に戻らないのはこのためです。
毛根は育毛のためには深いほどよいと言われています。浅いと太毛で元気な髪の毛に育ちにくい上に本来ならまだ抜けなくても良い髪の毛が抜けてしまう異常脱毛を起こしやすくなると考えられています。
柔らかく弾力がある頭皮がいいと言われるのはこのためです。毛根の数は胎児の時に決まっておりその後に増えたり減ったりすることはないといわれています。
髪の毛の断面から見た構造
一本の髪の毛は、大きく分けると次の3つの層からなります。
・外側のキューティクル
・中間部のコルテックス
・中心部のメデュラ
キューティクル
キューティクルの主成分はタンパク質(ケラチンタンパク)です。
半透明の鱗状のものが4~10枚重なって内部を守る働きをしています。毛根から毛先に向かって、たけのこの皮のように上を向いて重なっています。
髪の最表面にあり、外部の刺激から毛髪内部を保護し、髪にツヤを与えます。一旦壊れたキューティクルは再生されません。
コルテックス
コルテックスの主成分は繊維状のタンパク質です。
髪の90%近くを占めます。この部分のタンパク質、脂質、水分量が髪の強度や柔軟性、太さに影響しています。主にこの部分に含まれているメラニン顆粒によって髪の色が決定されます。
髪の毛の太さや強さ、また髪の毛を色を決定する主要な部分です。
参考:髪の毛を太くする方法
メデュラ
メデュラは、柔らかなタンパク質と脂質が主成分です。
メデュラは、鉛筆で言えば芯の部分にあたります。
健康な状態のメデュラは一直線に繋がっていますが、外的刺激により空洞ができやすいのが特徴です。
男性型脱毛症 (AGA)による抜け毛にも空洞が見られたりします。産毛や軟毛には存在せず、0.1mmほどの太くて健康な髪の大部分に見られます。