育毛が期待できる成分(外用)

育毛成分

ここでは、育毛剤や育毛シャンプーなどに配合されている頭皮に塗布する(外用)タイプの育毛効果が期待できる成分を解説しています。

育毛サプリメントなどに配合されている体内に摂り入れる(服用する)タイプの育毛成分はこちらを参照して下さい。

育毛効果が期待できる成分

M-034エキス

昔からワカメや昆布などの海藻類は髪の毛によいといわれています。

M-034エキスはこの海藻のネバネバに含まれる成分の一種で育毛に対して高い効能を秘めており、主に以下の働きがあるとされています。

成長維持因子グロスファクターの生成

血管内皮増殖因子(VEGF)の生成と、毛の退行を誘導する(FGF5)の抑制因子(FGF5S)を生成し髪の成長期を延長する働き。

外毛根鞘(がいもうこんしょう)の増殖を促進

外毛根鞘は、髪の毛を実際に作り出す毛母細胞を生み出す機関です。M-034エキスにはこの外毛根鞘を増やす働きがあるとされています。

外毛根鞘

血行促進

様々な栄養素を運ぶ血液の流れをよくしてくれます。

保湿作用

ヒアルロン酸に匹敵する保湿作用があります。

M-034エキスは、育毛剤で使用される成分では注目度が一番高い成分の一つです。

アデノシン

アデノシンは、資生堂が、長年の育毛研究の結果、髪の毛の成長を後押しする効果があることを発見した成分です。

成長因子FGF-7を産出して育毛促進する作用や血行促進作用、ヘアサイクルの成長期を維持する作用があると言われています。

男性型及び女性型脱毛症診療ガイドライン2017年度版でも、アデノシンは、男性型脱毛症には、Bランク(行うよう勧める)、女性の脱毛症には、C1ランク(行ってもよい)になっています。

アロエエキス

アロエには、殺菌効果や抗炎症作用、保湿作用があり、これらの作用で頭皮環境を整える効果が期待出来ると考えられています。

また、アロエに含まれているアロインという成分には、AGA(男性型脱毛症)の元凶と言われる5αリダクターゼという酵素の働きを阻害する作用があり、さらにアロエに含まれているレクチンには、皮膚の細胞分裂を活発にする働きがあると考えられており、この作用で育毛効果が期待できると考えられています。

塩化カルプロニウム

塩化カルプロニウムは副交感神経刺激剤です。

毛細血管は副交感神経を刺激することにより拡張します。副交感神経刺激剤である塩化カルプロニウムは、血管を拡張させることで毛根に栄養や酸素を運びやすくし、発毛を促す作用があるとされています。

円形脱毛症や悪性脱毛症、びまん性脱毛症、ヒ糠性脱毛症、壮年性脱毛症などの各種の脱毛症に対して処方されることもあります。

育毛剤として用いられる場合、副作用として熱感や刺激感、発汗、悪寒、かゆみ、過敏症などがあります。育毛剤のカロヨンシリーズに配合されています。

2017年版の日本皮膚科学会による男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインによれば、塩化カルプロニウムはC1(行ってもよい)に分類されています。

オウゴンエキス

オウゴンエキスは、シソ科の多年草であるコガネバナ(黄金花)の根の部分から抽出されたエキスです。このコガネバナの根の部分を乾燥させたものを「オウゴン」と言うことからオウゴンエキスと言われています。

オウゴンエキスは、AGA(男性型脱毛症)による脱毛の原因となる男性ホルモンDHTの生成過程における5αリダクターゼという酵素の生成を抑制する効果が確認されています。

AGA(男性型脱毛症)の流れ

加水分解酵母エキス

加水分解酵母エキスとは、酵母から加水分解して抽出した天然ペプチドのことです。ミネラルやタンパク質、脂質、糖質、アミノ酸、ビタミンB2、ビタミンB6などの栄養素を含んでいます。

研究の結果、加水分解酵母エキスの働きで毛乳頭細胞にある「繊毛」が約1.6倍まで伸びることがわかりました。この繊毛は毛髪育成には欠かせない発毛シグナルを発信する部位です。

繊毛が伸びることで発毛シグナル(FGF-10という成長因子)が300%に増加し、毛母細胞が増殖。その結果、髪の成長を強力にサポートします。

FGF-10は、毛髪の素であるケラチノサイトの分裂を促進する細胞増殖因子です。

サラヴィオ化粧品は、この「毛母細胞増殖因子(FGF-10)」が3倍も増えることを、実際の商品「M-1育毛ミスト」を使って証明しています。

キャピキシル

キャピキシル(Capixyl)とは、カナダの化粧品メーカー「LUCAS MEYER COSMETICS社」が開発した成分です。

アカツメクサ花エキス」という植物エキスと「アセチルテトラペプチド-3」という成長因子で構成された成分の総称です。

アカツメクサ花エキスに含まれるビオカニンAと呼ばれるイソフラボンの一種は、女性ホルモンと類似した構造を持つ分子で男性型脱毛症の原因である5αリダクターゼを抑制する効果があることが知られています。

アセチルテトラペプチド-3は、4種類のアミノ酸で構成されており、細胞外マトリックスを修復する働きや毛包の構造維持と固定力に働きかけ、育毛を促進します。

アセチルテトラペプチド-3の作用は、医薬品として扱われるミノキシジルの3倍の効果がある言われており、育毛業界では話題の成分となっています。

キャピキシルは、これら2つの強力な成分を合わせもった成分であり、
・脱毛を抑えつつ
・育毛環境を著しく向上させる作用がある
として話題をよんでいます。

グリチルリチン酸ジカリウム

市販の育毛剤を買うと、高い確率で有効成分として「グリチルリチン酸ジカリウム」という成分が配合されています。

「グリチルリチン酸二カリウム」「グリチルリチン酸2K」「グリチルリチン酸K2」「グリチノンK2」と表記されいる場合もありますが、どれも同じものです。

抗炎症作用や抗アレルギー作用、殺菌作用があり、頭皮の炎症やフケ、かゆみを防ぐ目的で、化粧品や育毛剤に用いられています。

発毛や育毛効果に直接作用するものではなく、頭皮トラブルを抑え、頭皮環境を整えることで、育毛の土台作りをするといった作用が期待できます。

特に女性ホルモンと似た作用があるとして女性の薄毛に効果があると言われていますが、多くの男性用・女性用育毛剤や育毛シャンプーに配合されています。

サイトプリン・ペンタデカン

ライオン株式会社の生物科学研究所によると、脱毛箇所と脱毛をしていない箇所の毛乳頭細胞を培養して調べた結果、脱毛箇所で「BMP」と「エフリン」という2つのタンパク質(成長因子)が不足していることが分かりました。

ライオンの生物科学研究所は、これらの不足を補う成分として「サイトプリン」と「ペンタデカン」が有効であることを検証しています。

サイトプリンは、毛乳頭細胞内のタンパク質(エフリン、BMP)の生成を促すことで、発毛促進シグナルを増幅し、太くて抜けにくい髪の毛を発毛する環境に整え、ペンタデカンは、細胞内の髪の毛の元となるタンパク質(ケラチン)の合成のために必要なエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)を供給し、抜けにくい髪に育てる働きがあります。

サイトプリンとペンタデカンは、男性型及び女性型脱毛症診療ガイドライン2017年度版でも、C1ランク(行ってもよい)になっています。

ジフェンヒドラミンHC

血行促進や抗炎症効果などの効能がある成分で、湿疹、蕁麻疹、皮膚の炎症、かゆみを抑える効果があることから頭皮トラブルを抑える、頭皮環境を整えるという意味で育毛剤にも広く使われています。

ジフェンヒドラミンHCには副作用として眠気が起こることがありますが、この副作用を逆に利用した睡眠薬の開発が進められています。市販薬の睡眠改善薬であるドリエルがその一つです。

成長因子

成長因子(グロースファクター)は、健康への作用として、アンチエイジング効果や基礎代謝向上、細胞の新陳代謝促進、体質改善、自律神経調整、疲労回復、精神安定、血行促進、ホルモンバランスの調整、活性酸素除去、解毒、免疫カ強化、内分泌調整、抗炎症、抗アレルギー、食欲増進など様々な作用があると考えられています。

成長因子の一つであるFGFの中のFGF-7(別名KGF)は、発毛促進因子とも言われ、毛乳頭細胞から産生され、毛母細胞に作用して毛母細胞の増殖、分裂を促すことで毛髪成長を促す作用があると解釈されています。

また、発毛シグナルである成長因子:FGF-10を300%増加させて育毛を支援する育毛剤として、M-1育毛ミストがあります。

さらに、IGFと言われるインスリン様成長因子には、髪の毛の成長期を延長させ、後退期や休止期を縮小させる働きがあるとされています。

セファランチン

セファランチンは、ツヅラフジ科の植物タマサキツヅラフジから抽出した有機化合物です。脱毛の治療にも効果があると言われており、事実、円形脱毛症の患者さんに病院の先生が処方する薬としても知られています。

毛細血管を拡張して血行を良くする血流促進作用、造血機能の回復力を高める免疫機能増強作用 、毛母細胞の増殖を促進する作用なの効果があると言われ、同じく薄毛に悩んでいる方にも有効とされています。

センブリエキス

センブリエキスとは、日本や中国、朝鮮半島に自生しているリンドウ科センブリ属の草からアルコールなどで抽出したエキスです。

センブリエキスはとても苦みが強く、このセンブリエキス中の苦み成分が、胃を刺激するということで、元々漢方薬の1つとして胃薬などに用いられてきました。刺激は脳に伝わり、さらに末端の神経へと伝達されていき、毛細血管の流れが良くなるというわけです。

センブリエキスは、市販の育毛剤や育毛トニックなどによく使用されており、発毛の司令塔とも言われる毛乳頭細胞を活性化し、その増殖を促進する作用や、皮膚温の上昇、皮膚毛細血管の増強などの作用があり、皮膚細胞の代謝改善、発毛促進に効果が期待できるとされています。

ミノキシジル

ミノキシジル(Minoxidil)は、もともとは高血圧症治療として開発された成分ですが、後に体毛が増えるという副作用が確認されたことから、脱毛症の治療薬として承認を受けた成分です。

血管を拡張させて血流を改善する効果や成長因子の産出を促進する作用、また、毛母細胞の死滅を抑制する作用で発毛・育毛を促します。

ミノキシジル(外用)は、日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドライン2017年版でも、男性・女性の区別なく推奨度A(行うよう強く勧める)にランク付けされています。尚、内服については推奨度D(行うべきではない)にランク付けされていることに注意を要します。

参考:ミノキシジルの効果と副作用

馬油

馬油とは、馬の油脂で、馬のたてがみや皮下脂肪からとれる油分を精製したものです。古くから火傷や切り傷、あけぎれなどの民間治療薬として広く活用されてきており、現在でも美容関連商品など様々な商品に活用されています。

5~6世紀頃の中国の医師、陶弘景の名医別録に「馬の油は髪を生ず」と書かれているように古くから育毛にも効果を発揮することが語り継がれてきました。

人間の細胞膜をつくるために欠かせない「不飽和脂肪酸」が豊富に含まれており、毛髪の発育や皮膚の状態を正常にする働きがあると言われています。

不飽和脂肪酸が不足すると皮膚障害を起こす恐れがあり、頭皮環境においても薄毛や抜毛の原因になる可能性があると言われています。

シャンプーに多く配合されています。

ヒオウギエキス

ヒオウギエキスは、主に西日本や東南アジアに生息するヒオウギという植物の根っこから抽出されるエキスで、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするイソフラボン誘導体という成分を高濃度に含んでいます。

ヒオウギエキスは、ヒアルロン酸やコラーゲンの働きを促進してくれる働きもあり、保湿効果も期待できるので化粧品などにも有効成分として使用されています。

一方で男性ホルモンを活性化させる5αリダクターゼという薄毛の原因とも言える酵素の活性化を低下させる事が確認されてい ます。このためAGAによる薄毛予防や薄毛改善効果が期待できます。

ピディオキシジル

ピディオキシジル(pidioxidil)とは、医薬品のミノキシジルに似た成分構造を持つ成分でミノキシジル誘導体とも言われています。

ピディオキシジル

ミノキシジル同様、血管を拡張して血行を改善し、育毛を促進する効果や毛母細胞を活性化して育毛を促進する効果があると考えられています。

ミノキシジルの分子構造に類似しているため、ミノキシジルと同等の効果が期待できるとされていますがその点のエビデンス(証拠データ)は不足しています。

ただ、ミノキシジルのような副作用がなく、皮膚から吸収されにくいという欠点をカバーしていることから韓国などでは育毛剤やまつげ美容液にも配合されており、日本でも一部の育毛剤やシャンプーに配合されるようになってきました。

ビワ葉エキス

ビワ葉エキスは、ビワの葉から抽出した植物成分のエキスです。

髪の毛には寿命があり、成長期→退行期→休止期という一連の流れを経て脱毛します。脱毛したらまた新しく生えることを繰り返します。

このサイクルををヘアサイクル(毛周期)といいますが、このヘアサイクルには、FGFというタンパク質の一種が関係していることが分かっています。

ビワ葉エキスには、毛髪成長を促進させる「FGF-7」の産生を促進し、成長期の停止に関与する「FGF-5」の発現を抑制させる効果があるとされています。

ポリリン酸ナトリウム

ポリリン酸ナトリウムには、繊維芽細胞増殖因子であるFGFを安定化することとFGFとFGF受容体の親和性も高める働きがあることがわかっています。

FGFは、髪の毛の成長期から退行期のサイクルにかかわっている因子(情報伝達タンパク質)です。ポリリン酸ナトリウムは、毛乳頭細胞への細胞増殖指令(発毛スイッチ)が持続するようFGFに働きかけ、育毛効果を実現します。

リデンシル

リデンシルとは、スイスの化粧品原料メーカーであるINDUCHEM社が開発したプレミックス成分です。髪の毛の製造に深く関わりを持つ「バルジ領域」に働きかけることで、髪の成長を促進するとされています。

リデンシルの有効成分の一つであるDHQGは、毛乳頭細胞より上に位置するバルジ領域の幹細胞(毛母細胞などを生み出すもとになる細胞)を活性させる効果があります。

この幹細胞が後に毛母細胞へと変化し、髪を製造していきます。

DHQGには、この幹細胞を刺激することで毛母細胞への分化・分裂を促し、育毛を促進する効果が期待できるとされています。

バルジ領域

また、リデンシルの有効成分の一つであるEGCG2は、炎症性サイトカインであるインターロイキン-8(IL-8)を抑制し、炎症を抑える働きがあります。頭皮の炎症を抑えることで炎症による抜け毛・薄毛を抑制する働きが期待できます。

t-フラバノン

t-フラバノンは、花王が独自に開発した育毛成分です。公式サイトでは、t-フラバノンで3つの効果が確認できたことを記載しております。

①毛母細胞増殖促進効果 → 育毛促進効果
②毛成長促進効果 → 抜け毛の原因であるTGF-βを抑制する作用
③接着分子の出現量の増加 → 抜け毛を抑制

t-フラバノンには以上のような優れた育毛効果があります。重大な副作用も報告されていませんので一定の安全性が確保されていると考えられます。

まとめ

以上、頭皮に塗布する(外用)タイプの育毛が期待できる成分を解説しました。

これらの成分を積極的にとりいれることで高い育毛効果が期待できます。