育毛を司る外毛根鞘とは何いなのかについて解説しています。
外毛根鞘とは
髪の毛は毛包組織を包んでいる「毛根鞘」という組織で包まれています。
髪の毛やヒゲなどが抜けた時、抜けた毛の根っこの部分に白くて脂っぽい半透明のものが付着しているのを見たことがある方も多いと思います。
これが毛根鞘と言われる物質です。
毛根鞘の
外側を「外毛根鞘(がいもうこんしょう)」と言い、
内側を「内毛根鞘(ないもうこんしょう)」と言っています。
毛根鞘は、髪の毛を頭皮に固定しつつ、毛球内の毛母細胞で製造された毛髪を完全に角化が終わるまで保護し、表皮まで送り届ける役割を担っています。
抜けにくい髪には大きな毛根鞘がしっかり付着していて、抜けやすい髪には小さな毛根鞘が付着している傾向があることがわかっています。
これは髪の毛が抜けるまでの時間にも関係しているかもしれません。
また、特に外毛根鞘は髪の毛の製造や髪の毛の太さ、また髪の毛の色などに重要な役割を担っていることが明らかになってきています。
抜け毛に白くて脂っぽい半透明のものが付着していると健康な髪の証拠であるという話を聞いたことがある方もいると思いますが都市伝説でもなさそうです。
一般的には毛根鞘が髪と一緒に抜けても毛根鞘はまた作られますので問題ありませんが、髪の毛を無理に引き抜いたりするとこの毛根鞘を傷つけたりしますので注意する必要があります。
外毛根鞘には毛母細胞のもととなる細胞が存在
外毛根鞘にはCD34タンパク質を含んだ「CD34陽性細胞」が存在しています。
そしてこのCD34陽性細胞は、後に髪の毛の製造機関である毛母細胞に変化することが明らかになっています。
つまり、外毛根鞘には髪の元となる細胞が存在するということです。
また、日本メナードが実施した太い髪と細い髪についての分析調査では、細い髪ほど外毛根鞘に存在するCD34陽性細胞が少ないことが分かっています。
このことから髪の毛が細い人はCD34陽性細胞が少ない、逆に言えば、CD34陽性細胞が多い人は髪の毛が太いことがわかっています。
毛母細胞のもとになるこの外毛根鞘を活性化することができれば、結果的に毛母細胞を活性化することができ、抜け毛・薄毛の予防、太い髪の育毛促進につながることが期待できます。
参考:髪の毛を太くする方法
外毛根鞘のバルジ領域
外毛根鞘には、バルジ領域というものが存在します。
バルジ領域は、別名、毛隆起とも呼ばれています。
2000年に発見されて以降、業界でも注目されるようになってきました。
バルジ領域には、
- 毛包幹細胞と
- 色素幹細胞
の2種類の幹細胞が存在します。
毛包幹細胞は、毛髪生成のもとになる細胞を作り出し、色素幹細胞は、髪の着色に重要な働きをする細胞を作り出します。
幹細胞とは、自分と同じ能力を持った幹細胞をコピーできる能力(自己増殖能)と、他の様々な細胞になることができる能力(多分化能)をもった細胞で再生医療で注目されている細胞です。
近年の研究では、一連のヘアサイクルを経て毛母細胞が髪の製造活動を停止すると、毛包幹細胞が毛母細胞へと分化して、再び、新たな髪の製造活動を開始するというメカニズムが明らかになってきました。
色素幹細胞もあることから白髪とも深く関係していることがわかります。
育毛業界では、このバルジ領域を活性・増殖することで太くて元気な髪の毛の育成を促進すべく育毛剤などの開発・研究を行っています。
外毛根鞘を活性化して育毛促進
近年、育毛成分として注目を集めているオクタペプチド-2という成長因子の一種も、外毛根鞘にあるバルジ領域に働きかけて幹細胞を活性化し、毛包幹細胞を生成するように働きかける物質だと考えられています。
バルジ領域は、発毛に重要な役割を担っているとして脱毛医療の世界でも注目されています。つまり、この領域を破壊することで永久脱毛が試みられています。
まとめ
このように外毛根鞘は髪の製造だけでなく、髪の毛の太さ、また、髪の毛の色に深く関係する極めて重要な機関であることがわかります。
単に毛乳頭や毛母細胞に働きかけるだけでなく、この外毛根鞘を活性化することも抜け毛・薄毛対策として、また、発毛・育毛を促進する上で非常に重要だということが言えます。