遺伝性が高いと言われている髪の毛の太さですが、細い髪の毛は太くすることができるのでしょうか。
ここでは、生まれつき髪の毛が細い場合や、乱れた生活や偏食、加齢やストレス、またAGAの発症などで細くなってきている場合の髪の毛を太くする方法を解説。
髪を太くするのにおすすめのシャンプーや育毛剤を紹介しています。
髪の毛の太さ
髪の毛の太さは、年齢・性別・民族によって異なり個人差もあますが、日本人の平均的な髪の毛の太さは0.07mm~0.15mmといわれています。
この太さにはかなり個人差があり、同じ人でも頭の場所によっても違います。
日本人の髪の太さは白人と比較してもおよそ1.3~1.5倍の太さがあると言われていますが、日本人がそんなに太いと感じないのは、髪の毛の本数が一般的に白人が多いためです。
男性は10代から20代、女性は10代から30代にかけて太くなり、男性は20代後半から、女性は30代後半からだんだんと細くなっていく傾向にあります。
髪の毛の質や太さ・白髪などは男女ともに遺伝によるものが大きいと考えられています。
そして遺伝で受け継いだ髪の毛の質や太さ、白髪などはその後、劇的に変化する可能性は非常に少ないと考えられています。
髪の太さを決めるもの
髪の太さや固さは、髪の毛の90%近くを占めるコルテックスという繊維状のタンパク質の量で決まると考えられています。
コルテックスの量が多いと髪は一般的に太く硬くなり、少ないと細く弱くなります。
そして、日本メナードが実施した研究調査では、太い髪と細い髪について分析したところ、細い髪ほど外毛根鞘に存在するCD34陽性細胞が少なかったという調査報告がされています。
参考:外毛根鞘とは?その詳細
髪の毛が細い原因
髪の毛が細い原因には、
- 生まれつきの体質でもともと細い場合と
- 後天的に細くなる場合
があります。
後天的な場合、何等かの原因で髪の毛が細くなってくると、髪のボリューム感が落ち、地肌も目立つようになってきます。
髪が薄くなったと感じるのは、髪の毛の本数ではなく髪の太さによる場合も少なくないため髪の太さは深刻な問題となります。
先天的に髪の毛が細い場合
先天的に髪の毛が細いのは、体質(遺伝)によります。外毛根鞘に存在するCD34陽性細胞が少ない体質が遺伝されているかどうかは今後の研究で明らかになってくると思われます。
体質で髪の毛が細い場合は、劇的に太くすることは困難でもボリュームアップシャンプーや育毛剤等で髪の毛を太くすることが期待できます。
後天的に髪の毛が細くなる原因
後天的に髪の毛が細くなる原因には、
- 病気や過度のストレス、偏食や乱れた生活習慣などで一時的に細くなる場合
- 加齢による場合
- AGAやFAGAなど病的症状を発症した場合
などがあります。
病気や過度のストレス、偏食や乱れた生活習慣などは、自律神経を乱す原因となり、血行が悪くなり、その結果、十分な栄養が髪に行き渡らず、髪が細くなる原因になります。
また、運動不足、睡眠不足、喫煙なども自律神経を乱す原因となり同じ理由で髪が細くなる原因となります。
これらは、一時的な症状ですので、殆どの場合、その原因が改善されることで元の太くて健康な髪の毛に戻ります。
加齢による老化は毛乳頭細胞や毛母細胞にも起こります。細胞が老化することで髪が細くなってきた場合は、血行を促進したり、毛根に栄養を与えたり、また毛乳頭や毛母細胞を活性化したりエイジングケアを行うことで髪の太さやハリ・コシをある程度改善することが可能です。
AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性の男性型脱毛症:びまん性脱毛症)など病的症状を発症して薄毛になったり髪が細くなったりしている場合は、生活習慣等の改善に加えて髪の毛が細くなっている原因に直接アプローチするAGA(FAGA)対策が必要となります。
髪を太くする6つの方法
髪を太くする方法は、髪が細くなっている原因でその対策が異なってきます。
後天的に髪の毛が細くなっている場合はその原因を取り除くことで元の太さまで戻せる可能性が高くなりますが、特にAGAなどを発症している場合は、進行が進まないうちに早めにAGA対策を打つことが重要となります。
いずれの場合も以下のような対策が有効とされています。
パーマをかける
先天的であれ後天的であれ、とりあえず、今ある細い髪の毛を太くする最も手っ取り早い方法が、パーマをかけることです。
パーマ液が髪の毛のキューティクルを開いて髪の内部に入りこみ、そのまま髪の内部からウェーブ状に固定されますので、長時間、太い髪の状態が維持されます。パーマのウェーブによってペタン髪にもなりません。
髪と頭皮が多少痛みますが即効性があり最も効果が期待できる方法です。
特に髪の毛の根本からかけることで地肌を目立たなくすることができますのでどちらかというと男性に効果的な対策です。
但し、パーマのかけすぎは、頭皮に負担をかけてしまいますのでマイナスです。
3ヶ月くらいの間隔はあけたいものです。
髪を太くする成分を積極的に摂りいれる
髪の毛の主成分であるタンパク質(アミノ酸)をきちんと摂りいれるなどバランスのとれた食事を意識することに加え、髪の毛の太くすることが期待できるコラーゲンや亜鉛、イソフラボン、ケラチンなどを積極的に摂取するように心がけます。
これらの成分は育毛サプリメントの定番成分として配合されています。
特にコラーゲンは、米国の研究機関で行われた実験で、毎日14gのコラーゲンを2ヶ月間に渡って摂取し続けたところ、摂取前に比べて毛髪がおよそ10%も太くなったという研究結果が報告されています。
これらの成分は、ストレスや栄養の偏った食生活、不規則で乱れた生活、加齢などで細くなっている髪の毛に有効と考えられます。
毎回食事などで摂るのが難しい人にはてっとり早くサプリメントで摂取するのもおすすめです。
頭皮のマッサージを習慣化する
頭皮のマッサージは、頭皮を揉みほぐして血行を促進することで、太くて強い髪の発毛促進につながります。指圧の効果で頭皮内の毛細血管が広がり、血流がアップして栄養が毛根へ行き届きやすくなると考えられています。
大手メーカーの花王の研究結果によると、6カ月間のマッサージ(指圧)により、毛髪の密度が約6%増加したという報告もあります。
ストレスや栄養の偏った食生活、不規則で乱れた生活、加齢などで細くなっている髪の毛に有効と考えられます。
育毛シャンプーを活用する
シャンプーは、日常生活で唯一、ほぼ毎日、頭皮や髪につけるものですので頭皮や育毛に与える影響は大変大きいものがあるとの認識が必要です。
良質なシャンプーで頭皮を毎日ケアすることは最も簡単にできる育毛方法の一つです。
継続は力ですので良質なシャンプーを使う習慣を身につけましょう。
特に質の悪いシャンプーを使い続けることで髪は徐々に細く弱くなっていくこともありますので、そうならないためにもシャンプー選びは重要です。
最近では、育毛シャンプー・スカルプシャンプーとよばれるシャンプーが普及してきており、発毛促進や抜け毛予防などのAGA対策成分をはじめその他の育毛成分・栄養成分・血行促進成分などを配合しています。
シャンプーは、その洗浄成分で、おおまかに
- アミノ酸系
- 石油系・高級アルコール系
- 石鹸系
の3種類に分けられますが、育毛を考える場合は、程よい洗浄力があり、頭皮に優しい「アミノ酸系」のシャンプーを使用するのが有効とされています。
アミノ酸系シャンプー
アミノ酸系は、原料が高いため少し値段が高めとなりますが、程よい洗浄力と保湿力があり、頭皮環境を整えるものとして最も適していると考えられています。
近年販売されている育毛シャンプー、スカルプケアシャンプーと言われるものの殆んどがアミノ酸系の洗浄成分をメインで配合しています。
さらに、近年は、アミノ酸系洗浄成分を中心にAGA対策、FAGA対策成分を配合しているシャンプーも販売されていますので、将来に備えた予防や既にAGAやFAGAを発症している人にも効果が期待できます。
一方、ドラッグストアやスーパーなどで大量販売されているシャンプーの多くが石油系・高級アルコール系と呼ばれるシャンプーです。
石油系・高級アルコール系は低コストで製造できるため価格が安価ですが、洗浄力が強く肌への刺激が強い成分です。
健全な頭皮環境を維持する皮脂を必要以上に取り除いてしまい、乾燥を招いて頭皮トラブルのリスクを高めてしまいます。
また、タンパク質変性作用(タンパク質を破壊する作用)もあるため頭皮や髪に残ると育毛に悪影響を及ぼす可能性も指摘されていますでの注意を要します。
髪を太くするボリュームアップシャンプーを活用する
育毛シャンプーは、長い時間をかけて弱った髪の毛を正常に戻す働きがありますが、ボリュームアップシャンプーやトリートメントは、比較的短期間で髪のボリュームアップを図ることができます。
自分の髪の毛自体を太くしていくのと違って即効性がありますが、成分には注意が必要です。
ボリュームアップを目的としているシャンプーの成分の多くは、頭皮に負担をかけてしまう場合が少なくないからです。
特に市販のボリュームアップシャンプーの成分を見るとその傾向が見受けられます。石油系・高級アルコール系洗浄成分をベースに髪の毛をコーティングする成分が配合されており、使い続けるほどに本来の髪の太さを損なってしまうリスクがあります。
また、コーティング剤が頭皮に付着すると頭皮環境に悪影響を及ぼすだけでなく、育毛剤を使用している場合はその浸透を妨げてしまいかねません。
この手の商品を使用する場合は、成分に十分注意する必要があります。
できれば、一時的に髪の毛を太くボリュームアップしながらも既存の髪の毛も育てていくシャンプーを選ぶようにしたいものです。
髪を太くする育毛剤を活用する
育毛剤で血流を促進して髪を太くする
AGAやFAGA(びまん性脱毛症)などを発症していない場合でも育毛剤を活用することは髪の毛を元気に太くするには非常に有効です。この場合は、特にAGA・FAGA対策成分を含んでいないものでもOKです。
育毛剤には、頭皮環境を整えたり血流を促進する成分が配合されており、乱れた生活習慣や食習慣、過度のストレス、加齢などで滞った血流を促進し、髪を製造する毛乳頭に酸素や栄養素を運びやすくしてくれます。
AGA・FAGAの原因にアプローチする育毛剤
AGAやFAGAを発症して髪の毛が細くなっている場合は、育毛剤や育毛サプリメントの活用が必須です。
AGA(FAGA)は発毛に関わる毛乳頭を萎縮させ、髪の毛の元となる毛母細胞の成長を抑制する病気です。残念ながら日常生活や食生活の改善、また育毛シャンプーの利用だけでは、その進行は止まりません。
従って育毛剤や育毛サプリメントを購入する場合は単に血行を促進したり栄養を与えたりするだけのものではなくAGAやFAGAの原因を抑制する成分を配合したものを選ぶことが重要です。
具体的には、男性の場合は、AGAの原因物質である5αリダクターゼという酵素やDHTの働きを抑制する成分を配合したもの、女性の場合は、女性ホルモンのバランスを整えるよう働きかけるものです。
<5αリダクターゼやDHTの働きの抑制が期待できる成分>
- ノコギリヤシ
- 亜鉛
- キャピキシル
- オウゴンエキス
などなど。
<女性ホルモンのバランスを整えるよう働きかけるもの>
- グリチルリチン酸
- イソフラボン
- 成長因子
などがあげられます。
特にAGA治療薬として有名なミノキシジルは、小さくなった毛包を大きく深く成長させ、毛髪を太くする作用があります。同様に毛包に働きかける育毛剤は髪を太くする効果が期待できます。
原因にしっかりとアプローチし、「抜け毛を減らす」「発毛を促進する」といったAGA対策成分(ヘアサイクルを整える機能を持つ成分)を豊富に進む育毛剤を使用することが大切です。
外毛根鞘を活性化する育毛剤
冒頭でも述べた通り、日本メナードが実施した研究調査では、細い髪ほど外毛根鞘に存在するCD34陽性細胞が少なかったという調査報告がされています。
従って外毛根鞘を活性化することは、育毛や太い髪の生成にも効果が期待できるのではないかと考えられています。
外毛根鞘を増殖させる働きがある成分としてはオクタペプチド-2、リデンシルいう成分があります。
まとめ
以上、髪の毛を太くする方法や髪の毛を太くするのに有効なシャンプー、育毛剤についてまとめました。
髪の毛を太くするには、現在髪の毛が細い原因を特定することから始めます。生活習慣なのか、加齢なのか、また、AGA・FAGAによるものなのか。
- とりあえず即効的に太くしたい場合は、パーマやボリュームアップシャンプー
- 生活習慣や加齢で弱った髪には栄養の補給や頭皮マッサージ、また育毛剤や育毛シャンプー、育毛サプリメントの活用
- AGA・FAGAを発症している場合はAGA対策として育毛剤・育毛サプリメントの活用
など、原因に的確にアプローチした対策を打たなければなりません。
尚、当たり前のことですが、これらの対策を打つ前提として規則正しい生活、バランスのとれた食事、ストレス発散も重要であることは言うまでもありません。