ここでは、髪の毛の製造に深い関わりを持つと言われているバルジ領域を活性化して発毛・育毛を促進することが期待できる育毛剤について解説しています。
バルジ領域とは?
バルジ領域とは皮膚内の毛根から頭皮表面に近い箇所にある部位で髪の毛の製造と深く関わりを持っている機関です。2000年に発見されて以降、発毛や育毛、また、脱毛を行う上で注目されるようになりました。
バルジ領域には、
・毛包幹細胞と
・色素幹細胞
の2種類の幹細胞が存在しています。
幹細胞とは、
・分裂して自分と同じ幹細胞を増やす能力「自己増殖能」と
・体を構成するさまざまな細胞に分化する能力「多分化能」
を持つ細胞です。
つまり、毛包幹細胞は、毛髪生成のもとになる毛母細胞に分化し、色素幹細胞は、髪の着色に重要な働きをする色素細胞に分化するという訳です。
そして、毛包幹細胞と色素幹細胞を維持するのに重要な役割を持つ成分が17型コラーゲンだということがわかっています。
17型ゴラーゲンは、簡単にいえば、基底膜の部分に存在し、幹細胞を繋ぎとめておく成分で、17型コラーゲンが減少すると、抜け毛や白髪のリスクが高くなると言われています。
17型ゴラーゲンは、加齢に伴うDNAの損傷により減少していきます。男性型脱毛症(AGA)とは異なり、加齢とともに進行する薄毛や白髪には、この17型ゴラーゲンの減少が関わっていると考えられています。
バルジ領域の活性化で発毛・育毛
このため、これまでは、発毛、育毛といえば毛乳頭細胞や毛母細胞へのアプローチが注目されてきましたが、毛母細胞の製造にこのバルジ領域が関わっていることが発見されたことで、発毛、育毛、また脱毛へのアプローチの仕方も変化してきました。
つまり、これまでは、毛乳頭や毛母細胞を活性化することで育毛・発毛が、毛乳頭や毛母細胞を破壊することで脱毛が試みられてきましたが、髪の毛のバルジ領域を活性化することで発毛・育毛を促進し、すね毛やワキ毛などのバルジ領域を破壊することで永久脱毛が実現できないか試みられるようになってきました。
そして、近年ではバルジ領域を活性化する成分もいくつか判明してきています。
<バルジ領域を活性化する成分>
・17型ゴラーゲン
・オクタペプチド-2(プロヘアリンβ4)
・リデンシル
バルジ領域を活性化する育毛剤
17型ゴラーゲンを配合した育毛剤
17型ゴラーゲンは、上でも述べた通り、基底膜の部分に存在し、幹細胞を繋ぎとめておく重要な成分でこれを増やすことができれば薄毛の改善が大いに期待できますが人工的に化学合成することができず摂取したり注入したりすることはできないと考えられています。
17型ゴラーゲンを配合したシャンプーというものも出回っているようですが、あまり期待できないようです。
一方で、ビタミンCの塗布で皮膚中の17型コラーゲンの量が増加したとしてビタブリッドCヘアーという育毛剤が話題になっています。
オクタペプチド-2を配合した育毛剤
オクタペプチド-2(プロヘアリンβ4)は、バルジ領域をに働きかけ、毛包幹細胞や色素幹細胞を活性するように働きかける成長因子です。
オクタペプチド-2は、ザ・スカルプ5.0cという男性用の育毛剤に、また、ミューノアージュという女性用の育毛剤に配合されています。
リデンシルを配合した育毛剤
リデンシルとは、スイスの化粧品原料メーカーであるINDUCHEM社が開発したプレミックス成分です。バルジ領域」に働きかけることで、髪の成長を促進するとされています。
リデンシルは、女性用の育毛剤であるリジュンをはじめ、バイタルウェーブスカルプロションやDeeper3Dといった男性用育毛剤に配合されています。
バルジ領域の働きは研究段階にあり今後も解明が進んでいくと思われます。